さやまかおり

木花茶寮設立時からアイコンとして販売している烏龍茶です

軽発酵、細かな雑味を抜く火入れのみで焙煎はしていません


台湾の四季春茶や翠玉種の烏龍茶が好きな方にはおすすめです

香りはジャスミンやジンジャーリリーのような軽く抜ける特徴があり同時にコクが強いお茶です


発酵度が浅い為、普段日本茶を飲まれるご年配の方にも好まれる香味で、さやまかおりの軽発酵の烏龍茶は日本の方であれば多くの方が美味しいと感じるものです


蒸し製の緑茶としては渋みが強かったり特徴が強い為、賛否の別れる品種ですが

名前に「かおり」とつくように、烏龍茶に仕上げると際立った万人受けのする個性を持っています


蒸し製の日本茶のように合組、ブレンドをして様々なランクを作る場合、個性というのは時に調和が取りづらく扱いづらいものになりますが、烏龍茶の場合、基本的には単一品種での販売となる為、さやまかおりは将来的に見ても日本の烏龍茶を代表する品種になる筆頭格です


香りが強い為、烏龍茶を作る茶師としては、とても重宝する品種ですが、物事には必ず良い点、悪い点があるようにさやまかおりにも欠点は存在します


一つは摘期が短いことです

適期というのは良品のお茶を作る為に最適な摘採期間のことです

さやまかおりの「ここで作れば最高」という期間は短く2~3日しかありません

摘採が早ければ渋みを伴い、遅いと香りがなくなります

適期がわかっていても、雨が2〜3日続くことはお茶時期にはよくあることです

その為、同じ敷地の畑であっても摘採が同じ日にならないように圃場の管理技術で調整し、安定量を届けられるように努めています


木花茶寮の圃場は元々は海が隆起した赤土となりますが

畑の土壌改良材として使われる鉱石が自然と出るほどの恵まれた土地です

畑は管理以前にその土地の質が命ですが、周りは高級タケノコの産地であり、これは土自体に全くエグみがないことを意味します


このような恵まれた条件がある為、焙煎などを施さない緑茶や烏龍茶には白ワインに感じるミネラル感や高級な日本酒の喉越しを感じることができます


さやまかおりをはじめとする木花茶寮のお茶はワインバーやイタリアンやフレンチ系の店舗でも多く取り扱いいただいておりますが、ソムリエの方からは「シャブリみたいですね」という言葉もいただいています


烏龍茶は元々多肥で栽培するものではない為、私自身もワインの風味やミネラル感を参考にお茶作りを進め、肥料も旨味成分の元となる窒素はほとんどいれず、ミネラルを少量だけですが多種入れる管理方法をとっています


その土地の土壌と気候風土が全面的にわかりやすく出ている烏龍茶です


茶葉は2023年10月の冬茶です

さやまかおりは木花茶寮の中でも圃場が大きく収穫量の一番多い品種となりますが、現在手元にジャパンティーフェスティバル用に確保しておいたものだけしかない状態です


さやまかおりは正しい製茶と仕上げをした場合、1ヶ月程経過した後から香り甘味がましていきます、ちょうどピークを迎えてくる時期となる為、是非試飲をおすすめします



【おすすめの飲み方】

4gの茶葉に200cc程の熱湯、各煎30秒ぐらいで6煎程楽しめます

冷茶の場合、上記と同じ要領で常温の水を入れ冷蔵庫で一晩で出来上がりますが

さやまかおりの特徴となる香りは沸点が高い為、大きめのボトルに三分の一ぐらい熱湯を入れその後水を入れ冷蔵庫で一晩というのが最適です