金糸雀 〜きんしじゃく〜

品種つゆひかりを使った釜炒り緑茶です

季節は冬茶、4番茶にあたります

旨味の強い蒸し製の緑茶をメインとする日本茶では一番茶の価値が高く、それ以降は作らない方も多くいます、旨味を溜め込んだお茶を良しとする以上それは仕方のないことかもしれません

※木花茶寮では5月の1番茶を春茶、6末〜7月初頭の2番茶を夏茶、8月中旬〜9月初旬 の3番茶を秋茶、9月下旬〜10月中旬の4番茶を冬茶と表記しています


一方私がお茶を学んだ台湾では各季節、お茶時期に特徴のあるブランド茶が存在します

台湾の緑茶に関しては、春の一番茶と最終の冬茶で良品を作ります

また価格的には春の一番茶より最終の冬茶の方が若干高いのが普通です

日本茶の概念からすると理解は難しいのですが、旨味由来のお茶という縛りがなければ日本の冬はとても良いお茶が出来ます


製茶的観点から見ると秋晴れという言葉があるように晴れた日が多く気候が安定しています

また残暑が続く時期ということと木花茶寮の圃場の立地条件にもなりますが、日中は暑くなり夜に急激に冷え込みます、寒暖差は10度ぐらい出るのが普通です

しかも日照時間は春に比べ少なくなる為、昼間に光合成をしよく育ち、夜は冷え込む為成長が止まります、この繰り返しで少しずつお茶が成長していく為、葉も厚く香味、地味共に濃厚なお茶が出来ます

春は新春のフレッシュな香り、冬は濃厚な香味というのが特徴です


この釜炒り緑茶は今年度から作っているもので、1番茶の時期に一度作っています

淡く繊細で品の良い緑茶ではあったものの、私のお茶を取り扱っていただいている方へ紹介しても反応は薄いものでした

売る側としては繊細なものよりわかりやすいものの方が紹介しやすい為、仕方のないことだと思い、一定条件下で保存をしていました

無農薬で畑の管理が毎日ある為、お茶時期は催事にも出ることが難しく、そのまま9月を迎え、毎年参加している催事の為の準備にかかった際に確認してみるとものすごい香りを発揚していました


烏龍茶や釜炒り緑茶など、特に蒸しではなく炒るお茶に関しては時にこのようなことが起こります

台湾の烏龍茶を一つとっても出来たてが良いものや半年以上寝かせるものなど様々あります

これは品種のもつ特性が影響する部分ですが、台湾の場合、長年の蓄積でその品種をどのように加工すればあと伸びがするとか、この品種はそもそもあと伸びは少なく作りたてを販売した方が良いなど既に確立化されています


木花茶寮は日本の茶農家の方々が後々烏龍に興味を持った際に、手持ちの品種ですぐにできるよう、既存の日本の緑茶品種での烏龍をメインに作っています

日本の緑茶品種では、烏龍茶への適正も判断されていない為、釜炒り緑茶から軽・中・重発酵度の烏龍、そのお茶に対する焙煎の角度や間など、全ての情報がない中で一つ一つ確認し、将来他の方々へ情報を共有できるようお茶作りを進めています


今回は偶然にもその結果が転がりこんできたような印象です

この緑茶を9月の北海道の催事で販売したところ、反響は多く、一番最初に売り切れました

今回のような変化が起きる場合、旨味の元となるアミノ酸類が多いと茶葉事態の劣化が激しくなる為、烏龍茶の施肥体系に近い圃場管理が必要となります

つゆひかりは旨味を溜め込みやすい品種となるが故に、一般的圃場の施肥量は多く蒸し製の緑茶釜炒り茶共にこのお茶と同じ結果はえられないと思います


加えて烏龍茶を後熟させる知識や技術が必要となる為、唯一の味と言っても過言ではないと思っています


経年変化期間とその条件がほぼほぼわかった為、急遽冬のお茶で少量作りました

来年度からは産量を増やし、将来的に木花茶寮のアイコンとして育てていくお茶です


金朱雀(きんしじゃく)、カナリアとも読みますが商品名は「きんしじゃく」となります

水色が黄色の中に若干の淡い緑色をおび、それがカナリアの羽色に近い為この商品名となりました



【おすすめの飲み方】

3~4gの茶葉に200cc程の85~90度程のお湯、各煎30秒ぐらいで5煎程楽しめます

冷茶は上記のお湯の温度を常温の水にして一晩ぐらいで楽しめます