VINTAGE NILGIRI 2012 CHAMRAJ T-E L-16 FOP
茶師渡辺個人ストック品です
FOPといえど12年、適正な管理で保管された紅茶というのは市場でもお目にかからないのではないでしょうか?
この紅茶は2012年に国内の親しくさせていただいている紅茶問屋さんから100種類以上紹介された中で唯一気になり個人的な勉強も含め仕入れたものです
FOPという日常的に飲みやすい部類になりますが、お茶に関わらず高いお金を出せばいくらでも高級品(トップオブトップ)は手に入ります
逆に日常的なもので価格以上の価値があるものというのは昨今なかなかお目にかかりません
テイスティングした際に、寝かせればそれなりに伸びる紅茶だとわかりましたが、同時に茶湯の中に時折感じる雑味が香味の前に立ち、製茶工程では大きなミスがないのに勿体無いお茶だなと感じだのを鮮明に覚えてます
製茶に大きな欠点がないという条件と雑味の量によりますが、この雑味は「甘露焙茶」の後半で説明している、台湾の電気温風式の焙煎機を使用し、「手術」、「修理」という作業を行えば綺麗に取り除くことができるものです
電気温風式の焙煎機は日本茶や紅茶の現場では見かけることがなく、烏龍茶界隈の道具ではありますが、ガスや重油を用いた火、火力の乾燥機や焙煎機と違い熱量が少ない為、短時間の使用では火香がつきにくいという特徴があります
その特徴を生かして高温でも焦香をつけず茶葉の内容成分をゆっくりと時間をかけて変化させていくのが烏龍茶の焙煎となります
しかし、この焙煎機にも不向きなことがあり、熱量が少ない分それだけ時間を要する為、茶葉の揮発性の香りが飛びやすいという側面があります
烏龍茶では発酵度によって揮発性の香りや茶葉内部に生じる内面生の香りがあり、それぞれの特徴によって焙煎方法が異なりますが、紅茶というのは揮発性、内面生の香りがありつつも揮発性のものが多く含まれます
ガスや重油の直火の温風だと火香がつき香りも飛びやすい、電気の温風式で時間をかけすぎると香りが飛んでしまう可能性がある、、ここ10年程火香の強い紅茶が多くなりそれが普通となってきましたが、個人的には紅茶というのは火香のないストレートな味わいが最良だと考えている為、電気温風式の焙煎機で最短の時間で仕上げるという選択をしました
30度の温風から始まりフィニッシュの温度と要した時間は技術的な観点で公表できませんが、各温度帯の雑味を取り除き綺麗なデイリー紅茶に仕上がりました
【おすすめの飲み方】
1gにつき150ml程で2分〜
2~3煎目は紅茶の香気特性上香りが薄くなりますがコク・深みは十分に有ます
最初の一杯をホットでいただき、2~3煎目を冷蔵庫で冷やし、翌日ストレートでお水代わりに淡く飲んだり、香りの補充分としてレモンやミント、フルーツを入れて飲まれるとコストパフォーマンスは抜群に良いと思います