紅烏龍茶

「あか烏龍」「べに烏龍」読み方はどちらでも結構です

紅烏龍は台湾茶業改良場台東分場にて試行錯誤が繰り返され2008年に発表された新しい烏龍茶です


烏龍茶の分類に入りますが、製茶方法は紅茶と烏龍茶の合の子となります

摘採葉は紅茶部分の香味を出す芯のある一芯一〜二葉部分と烏龍茶の強いこくと香りを出す二〜三、四葉を使います

別々に摘むのではなく、新芽のある葉の三、四葉目までを摘みます


多くの烏龍茶と変わらず摘採後は日干萎凋という太陽に葉をあて室内に持ち込みます

その後も烏龍茶の製造と変わらず、攪拌という作業を数回こなします

烏龍茶の場合ここから殺青機という釜炒りの機械に入れ茶葉を炒りますが、紅烏龍はここから紅茶製造と同様に揉捻という生葉を揉み込む作業となります


揉捻後発酵に入り、この後に烏龍茶の製茶に戻り、殺青機にて釜炒りし、乾燥、30時間以上の焙煎をかけたものを紅烏龍といいます


工程だけ見ると紅茶と烏龍茶の製茶を混ぜたものとなりますが、発酵をあげるタイミングが通常の紅茶と異なる点、殺青機で釜炒りする際の温度や時間帯、目的が極端に違います

この部分はこのお茶を作る最大の肝となる為、ネットなどでは一切公表されておらずYouTubeなどで検索しても大事な部分は一切映りません


この製茶方法は台湾の焙煎技術を生かしつつ新しいお茶を作っていくという目的があるので、他国に情報が漏れ、簡単に真似できないようにそのような対応となっているものと思われます


私は台湾にいたこともあり、作り方の情報は手に入り、住み込みで修行させていただいた農家も台東の方と振興があった為、荒茶や完成品の品質の高いものを取り寄せ、そこから何度もテイスティングをし工程の意図や目的を一つ一つ分解し、3年程試作を続けてきました


烏龍の製茶技術や台東の地理的条件、気候、歴史的に茶産地として置かれてきた立場などお茶だけでなくそこで働く人々の条件なども考慮されて作られた複雑な背景をもつお茶です、現地にいた人間としてはその背景が全てわかっているので数回の試作で概ね同じレベルのものを作ることが出来ました

国内では紅茶に焙じを入れたものを紅烏龍として売る方もいらっしゃいますがそれは全くの別物です


品種を選ぶお茶ですが、さやまかおりで良い結果がでた為、本年度2回の催事で試験販売をしてきましたが、2回ともすぐに完売したと同時に、紅烏龍を知っている方からも

「現地のものと全く同じ味がしますね」という嬉しい評価も多数いただきました


紅茶様の香りと烏龍の奥深い味わい、そしてそれを30時間以上かけて焙煎で変化させていくという複雑なお茶ですが、香味自体はとてもキャッチーで一般の方が想像する烏龍茶の延長線上のわかりやすい味わいとなっています


多くの方に飲みやすい烏龍茶である為、来年度から量を多くし、大々的に木花茶寮の新たなアイコンとして育てていくお茶となります

 

 

【おすすめの飲み方】

4gの茶葉に200cc程の熱湯、各煎30秒ぐらいで6煎程楽しめます

冷茶の場合、上記と同じ要領で常温の水を入れ冷蔵庫に入れ12時間程で出来上がります