ほどほどの煎茶

4月から5月の「やぶきた」の一番茶のみを使用した蒸し製の緑茶、日本茶です

この煎茶は元々一般販売はしておらず、家族や親戚、知り合いやそのご紹介で気に入っていただきリピートしたいという方々の分を作り続けているものです


日本茶=旨味というイメージは多くの方が持っていらっしゃると思います

玉露や高級煎茶に代表されるような旨味の多いものは、日本茶の嗜好品としての最高到達地点だと思っています


しかし緑茶を日常的に飲用していく場合、旨味がありすぎると続けて何杯も飲めるものでもなく、喉が乾いていても身体が拒否してしまいます


茶師として、一購入者として、小さな子供を持つ親として、食育という観念も含めて

「日常的に飲める最良のお茶とは?」と考えた時

お茶本来の自然の味わい(プレーン)があり、取り扱いが容易で手頃な価格帯ということになるでしょう

プラス生産者の顔や圃場が見えれば更に安心感がますでしょう


このような考えは台湾の住み込み修行時代から持っていましたが

旨味の多い少ないで判断する市場がある以上、旨味の少ない緑茶を私が決めた適正価格で販売しても誤解を招く部分が多いのでは?というのが今まで販売を見送ってきた理由です


しかしながら、今年度から催事などで少しずつ紹介をしていくと

このような日常茶を探されていた方が思っていた以上におり、今回の販売となりました



静岡県の緑茶生産の旨味の元となる窒素の年間施肥基準は10a(約300坪)あたり40キロ程となっていますが、木花茶寮の圃場では年間3キロ程です

この量で、強い旨味を出すことは勿論不可能ですが今回販売する緑茶には淡い旨味、お出汁味感を感じます


木花茶寮では全圃場を完全無農薬、有機栽培(コストの負担となる為JAS申請はしておりません)で管理しています

その為5月ぐらいから圃場の畝間にものすごい量の雑草が生え、一番茶から四番茶までお茶を刈り取る直前に雑草を一度刈り込み茶の摘採をする作業を繰り返します

刈り込まれた雑草はお茶の間でそのまま土に帰りますが、土中の微生物がこの雑草を分解する為の活動源として窒素が必要となります


私が施肥している3キロの窒素は茶樹に直接与えているものではなく、茶樹を健全に育てる為に土壌中に存在する微生物にエサとして与えているものです


微生物が窒素を使い雑草を分解すると、それは様々な肥料成分、地力窒素に変化し畑の土作りがしっかりできているとその成分を土に蓄えることが出来、翌年以降茶樹が吸収していき、ほんのりと優しい甘味のある旨味となって茶湯に現れます

肥料は厳選したものを使う為そこそこかかりますが、雑草の管理コストはそれ以上にかかり、夏場などは作業が追いつかない程ですが、自然の生態系、サイクルに沿った循環を作り、その土地、環境を体現した(ワインでいうテロワールに近い)お茶が出来る上に100年後も同じ場所でお茶が摘採出来ます


木花茶寮は発酵茶に特化した生産体型であり、発酵茶と蒸し製の日本茶では機械が異なる為、このお茶は生葉を収穫後、近くの日本茶工場に製茶を依頼しています


通常一番茶のみ、そして外部委託があると高額になりますが、日常茶としての位置付けの為お求め安い価格にしています

また今回は、催事ということもあり、多くの方に試していただきたいという思いもあり特別価格にて販売予定です


静岡、私の周りでは特にそうですが、日常茶は決まったものがある場合、真空で小分けされたもの一年分数キロを購入し冷蔵庫に保管したりします、この保管方法だと一年以上美味しくいただけます

冷蔵庫から出す際に温度差が20度あると結露しますので、ご注意ください

消費量の多い方は参考にしていただければ幸いです



【おすすめの飲み方】

2gにつき100ml程で30秒、2~3煎楽しめます

一般の日本茶と比べ高温でのエグみが出にくくなっている為、温度帯を気にせずご家庭のポットや湯を沸かした手のヤカンから急須に熱湯をすぐに飲むことができます

冷茶の場合10gの茶葉に対し300mlの水をいれ冷蔵庫にて20~30分