翠嵐気(すいらんき)
品種やぶきたを使用した木花茶寮の理想とする上級煎茶です
日本茶=旨味と言われますが、旨味の元となる窒素肥料を茶樹の活動に必要な分だけしか与えずに育てた畑から作る浅蒸しの煎茶です
旨味はほんのわずかにしか感じません
このわずかな旨味は肥料由来ではなく、肥料として与えた窒素を地中の微生物が有機物を分解する為に使い、その分解された有機物(主に畝間に生えた雑草)が翌年以降に自然の窒素(地力窒素)となって現れ茶樹が吸収したものです
この自然由来の地力窒素が畑の表層に発揚する条件が整う温暖湿潤気候というのが日本の畑作の特徴であり、東南アジアのお茶やヨーロッパをはじめとするワインの世界とは環境の異なる恵みだと思っています
日本茶、烏龍茶、紅茶に関わらず木花茶寮が伝えたいお茶というのは
・品種の個性
・圃場の特徴(気候、土壌が作る香味、土壌そのものの土の味)
・茶や茶湯に現れる茶師の高い技術・見識・知識、人間性や性格
など他にもありますが、特に上述したものは大切にしています
木花茶寮の圃場は静岡県富士宮市内房にありますが
元々は芝川町という小さな町で、合併により富士宮市となりました
地名的には富士宮となりますが、地理的には富士川の西側となり旧清水市と言っても過言ではない場所です
丘陵地が広がる富士宮市街と比べ圃場のある場所はプレートの歪みの影響を強く受け
急斜面の深い山がいくつも連なり、昼と夜の寒暖差も10度前後出る厳しい場所です
また、支流の川も多く湿度が高く、夜は霧も多く発生します
このような場所で育つお茶は昼間に成長し、夜は気温が低くなり成長が鈍化しの繰り返しでゆっくりゆっくり育ちます
葉は厚くなり、滋味深く香味豊かなお茶が出来上がります
木花茶寮では発酵茶系に特化した工場であり、蒸し製の日本茶を作る機械も揃えていない為、懇意にしている腕の良い茶師の方に浅蒸しで製茶を依頼し、その荒茶をまた別の知り合いの方のところへ持ち込み、丁寧に仕上げをしました
高級煎茶で有名な旧清水市の両河内(りょうごうち)と遠くない場所にあり
特徴も似ている為、当初は仮で「清水筋」という名をつけていましたが
肥料由来の旨味ではなく、圃場を取り巻く恵まれた環境にでフォーカスして作った唯一無二の商品である為
翠嵐(すいらん)=緑の木々に立ち込める、みずみずしい山の空気
嵐気(らんき)=山中に立つもや、山中のひんやりとうるおった空気
という二つの言葉から「翠嵐気(すいらんき)」と命名しました
こちらは毎年作る予定はありませんので、興味のある方は是非ブースへ試飲にきていただければと思います