蜜香烏龍

6月末〜7月初めに大量発生するウンカの加害を利用した烏龍茶です

台湾の東方美人をメインとする農家で住み込みで修行をしていた為、本来2番茶の蜜香系はもっと早くに手をつけたかったのですが、

 

過疎地域で製茶をしている為、新たな放棄茶園の管理依頼が毎年来て再生作業に追われ休む時間も取れない、日本の各品種の特徴も発酵度や焙煎角度を変え何年か作っていかないと整理出来ない、、

ウンカの発生状況や時期は圃場の立地条件などによっても異なる為、複数年のデータがないと一番茶以降の整枝(二番茶に向けて摘採面を綺麗にして二番茶に向けてスタートする作業)の完璧な時期がわからない、、

 

と、木花茶寮を立ち上げてからかなりの準備期間に追われましたが、ようやく環境が整ってきて、ようやく二番茶の本格的な製茶に手が回るようになりました

 

手が回らない中でも各品種、数キロの試作を何年も続けて発酵度や焙煎の有無や焙煎温度や時間の適正値をテストし続けてきました

 

その中でまず紹介したかったのが今回のつゆひかりを使った蜜香烏龍です

紅烏龍の説明でも書いていますが、烏龍茶を作る熟した大きな葉の場合、東方美人やダージリンセカンドのような特徴とはまた異なる香味がでてきます

摘採葉の熟度と品種の関係によって様々な特徴がでます

 

台湾でも蜜香烏龍は市場にでますが、そのほとんどは東方美人の地域以外の場所で作られたお茶になります

というのも、東方美人の産地ではその時期東方美人を作るので当たり前ですが、、

 

茶師渡辺が住み込みで勉強していた農家ではオーダーがあれば蜜香烏龍を作っていました

ウンカの加害を知り尽くした農家が作る蜜香烏龍はなかなか飲めるものではありません

 

ウンカの加害を受けた葉は葉の葉脈(人間でいう血管)に異常をきたし、水を送る水道(みずみち)がなくなり葉の水分率と葉内での水分分布がアンバランスになります

烏龍茶は釜で炒るまでに葉の水分を綺麗に均一に抜いていくことが大事な作業です

その為、ウンカの加害葉というのは非常に難易度の高い製茶になる為、最後に焙煎の味である程度統一感を持たせてしまうのが一般的な蜜香系烏龍の特徴です

 

しかしながら東方美人農家はさらに難しい葉で東方美人を作っている為、蜜香烏龍の葉の製茶方法や特徴も熟知しています

今回の蜜香烏龍は焙煎は軽焙煎にとどめ、加害葉の特徴を最大限に生かした作りをしています

 

焙煎で統一するのではなく、清香系統で複雑に絡み合う香りを是非味わってみてください